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2012年6月12日火曜日

一点集中の力

Nao2
 ふじもなおです。

 なにかひとつのことに長けている、ということ。

 今日はそんなお話です。



私の父は男性の絵がとても上手です。

横顔だけ。


これを見た瞬間、「横顔だけって…」と笑う人と「横顔だけでも描けるだけすごいもんだ」という人がいると思います。
あるいは少ないかもしれませんが「自分もそうだ!」という人。


上記の話は本当の話で、高校に上がってイラストへの意欲も沸いている時に父と母に「人の絵を描いてほしい」と頼みました。

結果的に母の絵は上手とはお世辞にも言えないものでした。
母も苦笑いして「苦手」と言うほどに。

けれど父は違いました。
慣れた様子で鉛筆を動かし、横顔の男性の絵を描いたのです。

母と私はびっくりして「もっと描いて」と言いました。

ですが父は笑って「俺はこれしか描けない」と、それ以上鉛筆を動かすことはありませんでした。


今その絵は実家にしかないのでお見せできないのが残念ですが、小さなメモ用紙に描かれたその絵は本当に上手で、ゴルゴ13が好きな人にはたまらないだろう画風です。

その時は私も「横顔だけかー」と笑っていました。

ですが今になってようやく思い返すのです。

あれはすごいことだ、と。


父は女性が書いたのかという印象を受けるような綺麗で小さな字を書く人で、自分が決めたことにはとことん気力を費やしてでものめり込むタイプの人間です。
母はそういった父の性格を「よくわからない」と評して褒めることもありませんでした。
それをいつも聞いて目の当たりにしていた私も、仕事に対しての父の真っ直ぐな姿勢以外は特に注目することもなかったのです。

今では車に対して愛情を注ぐことも、自分が購入したロト6の番号をルーズリーフ用紙に表としてまとめて次の番号を予測しようとすることも、全てにおいて「すごい」と思えます。

父の横顔の絵に対しては尚更感心します。

「横顔しか描けない」のではなく、「横顔をとても上手く、漫画家並に早く描いてみせる」のですから。

よくよく考えてみれば、私の絵を描くスピードが早いのであれば、父がメモ用紙に描いた横顔の絵だって同じぐらいのスピードだったのです。
父に昔何があったかは知りませんが、ゴルゴ13のような男性が憧れる漫画やアニメにハマって自分で描きたくなって描いたのかもしれません。

メモ用紙に描く時「描き方どうだったかな」と呟いた父が、ブランクこそあれどそれほどまで時間をかけずに描けたということは、想像しているよりも長い期間父がその横顔の絵を描き続けていたのです。


「これしかできないのか」と、よく微妙な顔をする方がいます。

ですがそれは”それができるようになるまでにかけた時間”も”熱意”も、全て無視した言葉だと私は今思います。

私も実は横顔というか、正面が描けない絵がひとつだけあります。
お侍さんの絵です。

高校の時から何度描いても正面が描けずに苦心していたのですがある日からもう描ける向きだけで描いてみよう、と決めて描き続けています。

自分で言うのもなんですが、すっごく熱意がこもっている絵が描けた!と描き終わった後いつも満足感があるのがその侍の絵です。


みなさんも、自分で「これしかできない」を「これができる」に変えてみませんか?


最後に、私のそのお侍さんの絵を置いておきます。


さむらい

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